| 質問者:「がんばれ古田 さん/10歳」 |
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◆企業に所有される形から、企業やファンに支援される形へ 前回、今の企業に所有されるプロ野球の将来は、誰にもわからないといったよね。でも、はっきりしていることが一つあるんだ。それは、スポーツが誰かに所有されるような形で発展した例は、世界的にひとつもない、ということなんだ。大きく発展したスポーツはすべて、スポーツをやる人(スポーツを運営するクラブ=球団)を、企業やファンがサポートする(支援する)体制になっている。ヨーロッパのサッカーも、アメリカのメジャーリーグをはじめとする4大スポーツも、そうだ。 じつは、日本ではじめて、それを実行したのがJリーグなんだ。かつては、企業が、主にサッカー部という形でサッカーチームを所有していた。それを、サッカーをする人が独立し、地域に根付いたサッカークラブとして企業や行政、サポーターに支援をしてもらうという形にして、大きく発展した。 その間、Jリーグも、合併を経験したことがある。1998年に持ち上がった横浜フリューゲルスと横浜マリノスの合併だ。それは、クラブを支援しているはずの企業が、クラブを自分たちのもの(所有している)と考えていたことから起きた事件だった。そのままでは、地域に根ざしたスポーツクラブとして自立することは不可能だ、ということが明確になった出来事だったんだ。 Jリーグはそういう状況を変えようとして、クラブの自立を目指して動きはじめた。たとえばJリーグでは、それぞれクラブの経営内容を公開するようにして、クラブの運営や経営の専門家の集まるJリーグ経営諮問(しもん)委員会がそれをチェックするようにした。そうすることで、ほとんどのクラブの経営は、支援している企業に左右されないくらいによくなったんだ。 それからJリーグも、クラブを支援する企業や行政やサポーターも、サッカーにかかわれるすべての人々が、クラブの自立のために一緒になって知恵を出しあい、協力しあってきた。そういった努力の結果、JリーグはJ1、J2で合計28チームに増えるほど、発展をとげた。さらに、JFLやその下の地域リーグにも、将来のJリーグ入りを目指しているチームが加わって、まだまだチーム数は増えそうだ。チームがたくさん増えたことで、多くの選手にとって、サッカーをできるチャンスが増えた。そして、選手が才能を開花させるチャンスも増えて、いい選手がどんどん出てくるようになった。 それだけじゃないんだ。Jリーグが生まれる前まで、サッカーで動いた全体のお金は、20〜30億円だったのが、今では、数千億円ものお金が動くようになった。つまり、サッカーは一つの産業として、日本の経済のなかでも大きな意味を持つようになったんだ。 このことだけを考えても、プロ野球を含めた他のスポーツも企業に所有される形から、スポーツをやる人が、スポーツをやることを目的に独立し、それを企業や行政、ファンに支援してもらう形になった方がいいのがわかるよね。 ◆プロ野球は、生活を豊かにしてくれるみんなの財産だ プロ野球だって企業から独立し、企業や行政から支援される形になっていくことで、チーム数が、今よりも増えていくことになるはずだ。「オーナーの人たちは赤字だから、チーム数を減らす方向に進んでいるのに、本当にチームを増やせるの?」と思う人もいるかもしれないね。プロ野球12チームは多すぎるのかな? メジャーリーグと比べてみてみよう。メジャーリーグは全部で30チームある。さらに、マイナーリーグは全部で186チーム。メジャーとマイナー合わせて216チームもあるわけなんだ(メジャーリーグと関係のない独立リーグといわれるチームも入れると、250チーム前後にもなる)。 日本の人口(1億2千万人)とアメリカの人口(2億8千万人)で比べてみると、日本では93チームもできる計算になるんだ。これはとても単純な計算だから、日本にどれくらいプロ野球チームが増やせるのか、はっきりとはいえない。けれど、プロ野球も、もっともっとチーム数を増やせるとはいえるだろう。 もちろん、メジャーリーグのなかにも、経営が苦しいチームは少なくない。2001年にはチーム数を減らそうとしたことだってある。マイナーリーグのチームが、なくなってしまうことだってある。でも、そういう厳しい環境のなかでも、みんなで議論し、問題点を乗り越え、メジャーリーグのチーム数を増やしてきたんだ。 どうして乗り越えられたのか。それは、ベースボールが、あらゆる人々の心を豊かにしてくれるみんなの財産だ、と考えているからなんだ。みんなの財産だから、それをよくするためにみんなで話し合うのが当たり前なんだ。 日本のプロ野球だってそうだ。プロ野球の決まり事を定めている野球協約のなかでも、プロ野球の目的は、「社会の文化的公共財になる」と書かれている。「文化的公共財」というのは、あらゆる人々の心を豊かにしてくれるみんなの財産ってことだ。だから、みんなも大いに議論してほしい。プロ野球はもちろん、アマチュア野球も含めて、野球界全体をどうしていったらいいのか、今こそ、みんなで話し合う最高の機会だ。まだ子どもだからって、大人のしていることを黙ってみている必要はない。だって、プロ野球の将来は、君たちのために、あるのだから。 |
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