「バレーボールやバスケットボール、ホッケーなど、日本の女子チームの活躍が目立つようになったのはどうしてですか?」
質問者:「あかね さん/10歳」

.女性がスポーツを行う環境が整ってきたと同時に、男性よりは十分といえない環境をのりこえて、競技に打ち込んできた強さが出ているからだ。

◆自然な存在になってきている女性スポーツ

 アテネオリンピックに向けて、日本の女子選手の活躍はめざましいよね。実際、アテネオリンピックに出場する日本の女子選手の数(167名*)は、今回初めて男子選手(135名*)を上回ることになった。(*6月24日現在)
 これは日本だけの現象ではなく、オリンピック全体で見ても、女子選手の数は増えてきている。国際オリンピック委員会(IOC)は、将来、男女の出場者数(競技種目数)がまったく同数になることを目指していて、アテネオリンピックでは、男子だけの競技が少なくなり、ほとんどの競技が男女ともに行われるようになった。
 でも、女性のスポーツは、まだまだ世界中で広まっているというわけじゃないんだ。
 そもそも、オリンピックを創設したクーベルタン男爵も、「女性はスポーツをするべきではない」という考えをしていたくらいで、昔は、女性は「おしとやか」にするもの、というのが世界の常識だった。今でも、女性がスポーツをすることを望ましくないとする国は多い。
 女性のスポーツが広がっているのは、世界的に見れば、主に先進国で、それらの国では「男性が仕事をし、女性が家庭を守る」といった考え方から抜け出し、性別に関係なく、スポーツも含めて社会のさまざまな分野で女性が活躍するのが自然になってきている。日本もその先進国の一つとして、スポーツをする女性が当たり前になってきた。だから、女子選手の活躍を目にする機会が増えてきた、というわけなんだ。

◆サポートが十分でない分だけ、精神的な強さを持った女子選手

 今の日本のスポーツ界では、ライバル韓国に勝ってオリンピック出場を決めたバレーボールの女子と、何試合もフルセットまで行きながら負けてしまった男子のように、女子の方が勝負強く、活躍しているように見えるよね。
 それは、いったい、どうしてだろう? ひとつの考え方として、日本で男性がスポーツをすることへの取り組み方が変化した、ということに関係しているともいえるんだ。
 約40年前、私が子どものころは、スポーツばかりやっていると、「勉強ができなくなる。スポーツなんかせずに、勉強をしなさい。」と注意されたものだ。昔は、学校の体育以外のスポーツなんかしなくてもいい、と思っている人が多かったんだ。
 ところが、今では、スポーツをすることを子どもに積極的に勧めて、それをサポートするお父さん・お母さんが増えてきたんだ。実際、中学生や高校生のスポーツ大会では、観戦にやってくる保護者の数がすごく増えた(私が高校のときは、バドミントンでインターハイに出場しても、親の姿はほとんど見かけなかったものだ)。それに、ある企業の調査によると、子どもに将来なって欲しい職業のランキングで、息子には「スポーツ選手」という回答が第2位にランクされるほどになった。
 それに対して、娘になって欲しい職業のトップ10に、スポーツ選手は入っていない。女性がスポーツに打ち込もうとしても、「もういい加減にしておきなさい」と止められることが、まだまだ今でも多いのだ。それに、高校や大学を卒業し、社会に出てスポーツを続けようとしても、続けるための環境は、男性に比べて十分には整っていない。
 女性がスポーツに打ち込むためのサポートが、男子スポーツより十分とはいえない環境をのりこえて、競技を続けてきた選手が多いから、女子選手の方が精神的な強さを持っているのかもしれないね。

◆色々なスポーツに接する機会が多い女子選手

 女子選手が活躍するようになった理由として、スポーツの得意な女性は成長するまでの間に、いろんなスポーツを経験する機会が多いということもあるんだ。
 子どものころにさまざまなスポーツを経験すると、将来どんなスポーツをするにしても、バランスよく体が成長し、スポーツ選手としての視野や考え方も広がる。すると、一つの競技に打ち込むようになったときにも、いい影響を与えてくれるんだ。
 ところが、男性の場合は、一つの競技を続けられる環境が整っていることが多くて、子どものころにはじめた競技一筋という選手が多いんだ。プロ野球選手は、リトルリーグに入って野球をやりはじめると、野球一筋というのがほとんどだし、サッカー選手もサッカー一筋の人が大半なんだ。
 男性よりも恵まれない環境の中で、日本の女子選手たちはがんばっているんだ。とても素晴らしいよね。でも、日本の女子選手の活躍がどんどん見られるのだからといって、女子スポーツの環境はこのままでいいのかな。これからもっと女子スポーツが世界に広がっていくと、レベルもさらに高くなっていくはずだ。そうなると、さまざまな困難を努力でのりこえて強くなろうとしても、限界が出てきてしまう。だから、女性がスポーツをしていくための環境を、もっと整備し、サポートしていかなくちゃいけないね。

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