「野球のジャッジで“ボール”というのはどういう由来の言葉なのでしょうか。どんな球でもボールはボールなのではないでしょうか?」
質問者:「yokochima/ 33歳」

残念ながら、明確な答えはわからない。 でも、おそらく打つべき球ではない投球を1、2個と数えところから、1ボール、2ボールズと言ったのではないか、というのが私の解釈だ。

◆フォアボールも三振もなかった昔の野球


 確かに、どんな球でも(たとえストライクの球でも)ボールはボールだよね。なのに、「ボール」という言葉が、ルール用語になっている。この由来について調べてみたけれど、残念ながら明確な答えは見つからなかった。どこを探しても「ボール」は「野球のボール」という意味と、「ストライクゾーンを外れたボール」という意味がある、という説明しかなかったんだ。
 そこで、私自身が考えた答えを述べることにしよう。おそらく、この答えが正解ではないかと思っているが、yokochimaさんも、ぜひ一緒に考えてみて欲しい。
 現在の野球のルールは、様々なルール改正が行われて完成したもの。「フォアボール」や「三振」というのは、最近になって付け加えられたもので、もともとそんなルールはなかったんだ。では、どうしていたのかというと、バッターが打つまで、ピッチャーは打ちやすい球を投げ続けていたんだ。
 投げ手のことを、「ピッチャー」というのがその証拠だ。本当なら、“投げる”の英語は「(スロー)throw」だね。“throw”を調べてみると、「・・にめがけて投げる」とか「ねらいをつけて投げる」などの意味が出てくるから、投手は“thrower(スローワー)」となるはずだ。
 実際に、“クリケット”という球技では、投手のことを「thrower」と言う。打者は“ウィケット”と呼ばれる的(※野球でいうキャッチャーみたいなもの)に飛んでくる球を打ち返すのだけれど、打てずにウィケットにボールが当たればアウトになるんだ。throwerは、打たれないように“ウィケット”めがけて思いっきり投げてくるから、「投手=thrower」となる。
 しかし、野球のピッチャーの「ピッチ(Pitch)」とは、「(バッターが打ちやすいように)下からポイと投げる」という意味なんだ。今の野球の試合では、ピッチャーはバッターに打たれないように投げるのが常識だから、意味が合わないように思える。けれど、かつてはフォアボールも三振もなく、バッターが打つまでピッチャーが投げ続けていた時代では、現実にピッチャーはバッターが打ちやすいように、下から球を投げていたんだ。あくまで打者が主役であり、ボールが打たれてこそゲームが始まるという感覚だったのだろう。

◆打てないただの球のことを数えるときに、ボールとカウントした!?

 そんなルールの中で行われていた野球。でも、これでは時間がかかりすぎるよね。いくら打ちやすい球(=ストライク)を投げていても、打てない打者だっているだろうし、ピッチャーのほうもだんだん疲れてくる。それでは埒があかないからということで、「打てない球がきたら進塁する」というルールができた。フォアボールの誕生だ。ただし、そのルールができた頃は、フォアボールではなく、9ボールだったよ。打てない球が9球きたら進塁というものだった。
 9球は、ちゃんと数えてないと覚えられない数だよね。そこで審判は、打てないボールが何球来たかをバッターに知らせる時に、「ストライクでない(打つことのできない)なんの変哲もない球」を1個、1個と数えた。そのとき、1ball(ワンボール)、2balls(ツーボールズ)とカウントしていたのではないだろうか?「ストライクでない球、ひとつ」といちいち数えていては時間がかかるし、ただのボールだから、ball(ボール)と数えた。それが現在、野球用語になったのではないかと思うんだ。ルールが何度も変更されたなかでも、昔の名残が今のルールに反映されているケースは多いから、「ピッチャー」同様、「ボール」という表現も、きっとそのひとつなのだろう。
 また、将来、ルールが変わる可能性だってあるよ。日本のプロ野球で、巨人や西鉄ライオンズの監督を務め、「名監督」といわれた三原脩氏は、「野球を2ストライク3ボール制にしたらどうか」と提案している。2ストライクでアウト、3ボールで一塁へ。それだと、ゲームがもっとスピーディになって、すごく面白い展開になるかもしれないね。ルール改正が繰り返されてきた歴史のなかにあって、3時間以上もだらだらと続く今の野球のままでいいとは思えないんだけど、みんなは、どう思う?。

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