「ボクシングで減量に苦しむ人が多いのですが、なぜ減量しなくてもいい階級で試合をしないのですか?」
質問者:「一歩さん/12歳」
試合を有利に運ぶために行う減量は、ボクシング選手にとって欠かせない作業だ

◆ 有利な階級で闘うために行われる減量

世界で最も人気のある格闘技のひとつ、ボクシング。激しいファイトシーンと減量でしぼられた体は、それだけでもボクシングの厳しさを強烈に伝えている。
ヘビー級、ライト級、フェザー級など細かく分けられた階級は、全部で17あるね。そのなかで、減量しなくてもいい階級でなぜ闘わないのかというと、「パンチ力」に答えがあるんだ。
例えば、君が1グラムの砂糖のかたまりを横から投げつけられたとする。おそらく君は何にも感じないか、感じたとしてもほとんど衝撃はないだろう。では、100グラムの砂糖の場合はどうだろう?当たったという感覚が確実にあり、それによる痛みもあるかもしれない。  
そう考えるならば、体重1キログラムの違いは、どれほどのパンチ力の差を生むかが想像できるのではないかな? 体重が少しでも違えば、パンチ力が格段に変わり、それは重ければ重いほど力が増していく。
でも、相手も同じように体重が重ければ、それだけパンチ力が相手にもあるな。だから、自分のパンチ力を有利に持っていくために、自分本来の体重よりも軽めの階級で闘おうとするんだ。
つまり、ライト級は58.98kg以上61.23kg以下なんだけれど、選手はみな制限ぎりぎりの61.23kgを狙って減量していく、ということだ。
それは重量挙げの競技も同じで、体重の重い人が圧倒的に強いね。まともに勝負したら勝てないから、その下の階級を選手は狙ってくることになるんだ。
また、計量は試合前日にあるんだけれど、その計量をクリアーすると、選手はすぐに食事をとるよ。パンチ力とパワーをつけるために、選手は(お腹を壊さない程度だけど)よく食べるそうだよ。


◆減量で生まれるフットワークの軽さ
もうひとつ考えられるのが、一般的に自分のベスト体重は、現体重よりも少なめであるということだ。
一歩君は、体重が増えると体が重く、動きが鈍くなるような感覚って経験したことがあるかな?反対に、体重が減ると体が軽くなり、動きもそれだけ敏しょうになってくる感じがしないかな?
ボクシングはパンチ力だけでなく、フットワークの軽さも必要な競技だね。つまり、体重を軽めにするほうが、動きやすさから考えてもベストだということなんだ。
パンチ力とフットワークの利点から行う減量。けれど、少しでも勝ちたいという思いが無理な減量を生むのも事実。実際、過度の減量で体を壊す選手だっている。
また、各クラスのチャンピオンには、タイトルマッチではないノンタイトルの試合でもクラス内での試合で負けると、チャンピオンの資格を剥奪される、というルールがあるよ。(※ノンタイトルの試合を行うときは、規定の体重(チャンピオンの体重)を数キロ上回る体重での試合にするという契約をし、たとえチャンピオンが負けてもチャンピオンを剥奪されないようにしている)
常に、そのクラスの体重での試合には勝たなければならない、という義務が課せられているんだ。
さらに、タイトルマッチのときの計量で、そのクラスの規定の体重をオーバーしていることがわかると、試合前のその時点で、チャンピオンの資格を剥奪されることになっている。
体重オーバーは「試合を放棄した」とみなされるんだ。チャンピオンになると体重維持も非常に大切な仕事になるんだね。
以上のように、減量とは切っても切れない関係にあるボクシング。世界中で人気が途絶えることのないのは、減量の厳しさとも闘う選手たちの精神力に人々は熱狂するからかもしれない。

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