| 質問者:「ひゅうま/12歳」 |
| ◆あと何勝で優勝するかを表すマジック 優勝が近づく時期になると必ず点灯だの、消滅だのと騒がれるのがマジック・ナンバー。それを略して「マジック」といっている。今年もセ・パ両リーグの覇者が決まったけれど、新聞・テレビなどで「マジック」という文字を何度見たことだろうか。 マジック・ナンバーとは、簡単に言えば「首位のチームがあと何勝したら優勝するか」を表す数字のことなんだ。 2位のチームが残り試合を全勝したことを仮定する。すると、首位のチームは2位のチームに負けることになるね。それでもなお、何勝したら優勝できるかをマジック・ナンバーという数字で表してるんだ。 例えば、マジックが12(12勝すれば優勝という意味だね)とし、その日の試合は、首位チームの勝利で、2位チームが負けたとする。 まず、首位チームが勝ったからマジックは1減って、11になるね。 次に、マジックは「2位チームの全勝」を仮定にしているから、2位チームが負けたとことで、マジックは自動的に1減る。 つまり、合計すると2が減り、マジック「10」となるんだ。 ◆マジックは消えない? どのチームにもマジックは存在する? 「マジックが消える」というのは、逆の意味で「2位チームが全勝すれば、2位チームの優勝となり、首位チームが優勝できなくなる」ときのことをいうんだ。 けれど、例えば残り1試合で、1位と2位の差が0.5ゲーム差だとするよ。1位が負け、2位が勝った場合は2位が優勝するね。でも、2位が勝とうが負けようが1位が勝てば優勝だよね。「マジック1」と表されるはずなんだけれど、その時はマジックが消滅してしまってるという判断になってるんだ。 また、ちょっと変なことがあるよ。巨人は、8月13日にマジック34が点灯したね。そして、22日に消滅したんだけれど、9月4日に再び点いたときはマジックは18にまで、減っていた。ならばマジックは、本当は消滅なんかしてはいなかったんだ。消滅していたのなら、マジックは減らないでそのままだったはずだ。 つまり、じつは「マジックは消滅しない」ということなんだ。しかも、マジックを優勝までのカウントダウンと考えるなら、どのチームにも開幕のときからマジックは点灯していることになる。全試合140試合で、他のチームが140勝する可能性があるなら、優勝するためには141勝が必要で(それは、本当は不可能だけれど)、マジックは141からスタートし、ゼロになれば優勝というわけだ。 そう考えると、マジックは首位チームに与えられる特別な数字でも、何でもないんだ。減ってはいくけど、消えはしない。点灯なんてのも、全チーム始めから点いているのだから。 ◆マジックは優勝を騒ぐための道具でしかない なぜ優勝時期にマジックが注目されるのだろうか? それは、チームにとって必要な数字だからなのだろうか? じつは、決してそうじゃない。残り40試合で、マジック33という数字を聞いても、1試合1試合が勝負のチームにとっては、まったく意味のない数字だよね。 では何のためかというと、「優勝をただ騒ぐため」にあるんだ。マジックは優勝を盛り上げるための、マスコミの道具にすぎないんだ。 そもそも大リーグでは、マジック・ナンバーをこんなに騒いだりしないよ。「マジック30」なんて大きな数字からではなく、せいぜい「あと5勝で優勝」とか、そのくらい小さな数字になってからしか騒がない。 試合に勝利することはもちろん一番大切なことだけど、大リーグのチームは、ホームタウンの住人にとっての「おらがチーム」なんだ。選手はホームタウンの子どもたちに野球を教えたり、各学校を回ったり、地域のチームとして活躍するし、地域の人たちは、「大切な自分の街のチーム」としての誇りを持っている。“どこのチームがあと何勝で優勝する”ということよりも、多くの人が「おらがチーム」に目を向けることができるからなんだ。 日本のJリーグには、大リーグと同じくホームタウンがあるんだけれど、日本のプロ野球はそれがない。あるのは「親会社の宣伝のため」という存在だ。Jリーグのように地域社会に密着した「おらがチーム」という意識がほとんどないから、どんな成績でも「ガンバレ」と応援することがやりにくくて、とにかく「勝ち・負け・優勝」しか注目しない。観客は、ほかに楽しむ方法がないから、「勝つこと・負けること」で盛り上がるしかないんだね。 マジックを通して見えてくる、日本のプロ野球の限界。 日本のプロ野球も、一日も早く、大リーグやJリーグのように、「おらがチーム」にならなければ。 |
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