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オフサイドはサッカーのルールに欠かせない、ゲームの決着を早くつけさせないためのもの。サッカーの原点といってもいいほど大切なルールなんだ。
◆数千人規模で行われていたサッカーの元祖・フットボール
味方からパスが来るのを「敵のフィールド」で待っていて、シュートすると反則。簡単に言うとオフサイドとは、こんなルールだ。
もう少し詳しくいえば、味方の選手が前方へのパスを出した瞬間、そのパスを受ける選手と敵のゴールラインとの間に、2人以上の敵の選手が(通常の場合は、敵のゴールキーパーに加えて、もう1人の敵の選手が)いなければ「オフサイド」として反則、ということになる。
パスが前方に出された瞬間、それがオフサイドであるかどうかは、タッチ・ジャッジが判断し、旗をあげる。それを見て、主審がホイッスルを吹けば、オフサイドとなる。が、きわめて微妙な判定で、わかりにくく、ややこしいと言われているね。
では、なぜこんなルールがあるのだろうか? サッカーの歴史をたどってみると、オフサイドはサッカーの原点に関わるような大切なルールであることがわかるんだ。
前回(Q.10)の回答で登場した、中世フランスのボールゲームに、「ラ・シュール」というものがあったよね。「ラ・シュール」がイギリスに渡って、現在のサッカーの前身「フットボール」となる。それは、ストリート・フットボール(町中のフットボール)とか、モブ・フットボール(暴動フットボール)とか、マス・フットボール(群衆フットボール)などと呼ばれた。
それらのフットボールも、最初のうちは、「ラ・シュール」と同じく、クリスマスや復活祭など、お祭りのときに行われていた競技だった。けど、産業革命の頃(18世紀から19世紀にかけて)になると、工場用地として土地を奪われた農民や、過酷な工場労働に不満を持った労働者たちが、資本家や経営者に対して反抗するという目的のために、仕事をサボってフットボールを行うようになった。
数百人から数千人という大人数の男性が2チームに分かれ、一方のチームは町外れの教会まで、もう一方は教会と正反対にある木の根元までというふうに、それぞれのゴール地点を決める。ひとつのボールを蹴ったり投げたりして、ゴールまで最も早くボールを持っていったほうが勝ちというルールで競われたんだ。1点先取で勝負が決まったんだね。
ちなみに、その当時のボールは、南米のゴムがまだ発見されていなかったこともあって、なんと豚や牛の膀胱(ぼうこう)をふくらませて作られていたんだ。最初はそのボール(?)を手で投げてもいたんだけれど、重くて汚れてもいて、蹴るほうが遠くに飛んだ。そこから蹴る楽しみを見つけた人々が、蹴ることだけのルールを整えて作った球戯が「サッカー」(アソシエーション・フットボール)というわけだ。
ちょっと話が横道にそれるけど、「アソシエーション・フットボール」(協会の作ったルールのフットボールという意味)という言葉が、「アソック・フットボール」→「アソック」→「ソッカー」→「サッカー」と変化したんだけど、現在、世界で「サッカー」という言葉を使っているのは、アメリカ、オーストラリア、韓国、日本くらいで、ヨーロッパや南米やアフリカでは「フットボール」という言葉を使っている(イタリアでは、古代ローマ帝国時代のボールゲームの「カルチョ」という言い方を使っている)。
話しを元に戻そう。1点を取るために数千人という人間がボールを追いかけ、奪い合うことになるので、殴る、蹴るは当たり前だった。産業革命当時のイギリスの町中で行われたフットボールは、死者もでるほどの激しいものだったんだよ。
まさに「モブ(暴動)・フットボール」であり、「マス(群衆)フットボール」だよね。現在問題になっているフーリガンはこのようなフットボールをやった人々が元祖なんだね。
◆勝負を早く終わらせないためのオフサイド
産業革命以降、お祭りのとき以外でもフットボールが盛んに行われるようになると、ゲームの中で相手チームにこそこそと入って、一気にゴールをしてしまう人間が出てきた。
自分のチーム(=サイド)を離れる(オフする)から、オフサイド。1点先取で勝負が決まるので、あっという間に決着がついてしまう。そうなると、面白みもないうちに試合を終わってしまうし、産業革命に対する抵抗運動にもならない。だから、オフサイドをする人間は、ひきょう者として非常に嫌われた。もし試合中にオフサイドがばれてしまうと、殺されても仕方のない行為とされていたんだ。
今でもサッカーは小得点で、勝負が決まるよね。それは、オフサイドという行為がひきょうであり、オフサイドを許してしまったら勝負が早く決まってしまうという、フットボールの歴史を受け継いだからなんだ。つまり、オフサイドはサッカーの原点とも言うべき大切なルールなんだよ。
◆オフサイドはサッカー以外の競技にもある
サッカー以外にもオフサイドのルールはあるんだ。
今でもラグビーでは、オフサイド(敵の陣地)で倒れこんでいる選手がると、平気でその体を踏み越えたりする。つまり、オフサイドをしているほうが、悪いってことだね。
室内で行われるバスケットボール。そこにもオフサイドに代わるルールがあるんだよ。オフサイドのルールを実行するには、室内競技だからあまりにもフィールドが狭い。そこで、3歩以上歩くと反則になる「トラベリング」というルールをつくった。あれも、オフサイドが元になって生まれたルールなんだ。
こう考えると、オフサイドというのは、サッカー以外のあらゆるボールゲームに欠かせない、過去の歴史から生まれた重要なルール、ボールゲームを楽しむための基本ルールと言えることがわかるだろう。
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