運動会は玉転がしやスプーン競走などおもしろい競技があるのですが、なぜそんな競技があるのでしょうか?また、運動会はいつ始まったのですか?
質問者:「くるみちゃん 12歳」
運動会は体力を競うだけのものじゃないんだ。みんなでお弁当を食べみんなで楽しむ、明治時代に日本人が自分たちで考えたお祭りなんだよ。

◆運動会=お祭り!?パン食い競走が生まれた明治時代

 秋といえば運動会。日本では学校はもちろんのこと、会社の運動会、町内の運動会などたくさんの運動会があるね。種目もかけっこやリレーやハードル競走などとならんで、パン食い競走や障害物競走がある。騎馬戦もあればフォークダンスもある。会社の運動会となると、仮装行列なんてのもある。
 たしかに、オリンピックの競技にはない、おもしろい種目が含まれているよね。しかも、こんな奇妙な種目のあるスポーツ大会は日本だけで、どこの国にもない。どうして日本人は、こんな奇妙なスポーツ大会を生み出したんだろう? そんな運動会の秘密をさぐってみよう。
 ベースボールやサッカーなどのスポーツが初めて入ってきたのが明治時代だね。運動会が始まったのも明治のこと。当時の文部大臣が「運動会を開きなさい」という命令を出したことにはじまるんだ。
 けれど学校という制度ができたばかりの時代だから、運動場なんていう施設なんてなかった。そこで運動場のかわりにしたのが、お寺や神社の境内なんだ。場所を借りるためには、氏子(うじこ)や檀家(だんか)という神社やお寺と関わりのある地域の人々の許可が必要になる。それなら彼らも一緒に参加してもらおうということで、どんな人でも楽しめる種目を作ることになったんだ。
 まず作られたのがパン食い競走。不思議なことに、パン食い競走は全国で同時期に生み出されたんだよ。今ではマシュマロ競走やコーラ飲み競走など、さまざまな競技ができているけど、当時はブタ追い競走なんてのもあったんだ。

 そして神社やお寺でするなら、夏祭りや秋祭りと一緒にしてしまおう、ということになって、盆踊りなども運動会でするようになった。そう、それがフォークダンスのルーツなんだ。運動会は、参加するすべての人々のためのお祭りなんだね。
 また、運動会の会場が家から離れている場合が多いということもあって、遠足という要素もまじった。つまり、お弁当を作るという習慣ができたんだ。いまでも運動会にはかならずお弁当だよね。

◆騎馬戦・棒たおしは政治運動が始まり
 では、騎馬戦や棒倒しはどうして始まったかというと、それも同じ明治時代。国会が無かった時代に国会を開くことや憲法を作ることを主張した政治運動・自由民権運動がルーツだった。
 当時は政府の力が強くて、政府に反対する人たちは、意見を堂々と言うことができなかった。街なかで演説することも、デモ行進も法律で禁止されたりした。自由民権運動のメンバーもそれが悩みのたねだった。どうやって自分たちの主帳を聞いてもらおう? 彼らは考えた末、運動会に目をつけたんだ。「運動会をするのなら演説でもないし、デモでもないから大丈夫だろう」と。
 そこで自由民権運動をしていた人々(壮士と呼ばれているよ)がつくった運動会(壮士運動会)で生まれた種目が「政権争奪騎馬戦」と「圧政棒倒し」。騎馬戦ではだれが政治のリーダーになるかを競う姿をゲームにしたもの。棒倒しは当時の政府を倒す意味をこめて
棒を倒すもの。すべては競技にまぎれて彼らの言い分を国民に聞いてもらうためだったんだ。また、「議会をつくれ」「政府反対」とか言いながら、パフォーマンスを行った。現在の仮装行列はここが始まりだったんだよ。

◆おもしろい競技が少なくなった現在
 こうしてみると、運動会は深い歴史のあるとてもおもしろいお祭りだということがわかるね。でも非常に残念なのはそういった競技が少なくなっていることだ。お弁当だって家族は別々のところで食べる。危ないからといって、騎馬戦や棒倒しを止める学校もある。競走はよくないからといって、かけっこに順位のつけない学校もある。
 日本唯一の特別なお祭りなのだから、僕としてはこれからも伝統ある運動会を守って欲しいと思うんだ。むしろ町内の運動会と学校の運動会を一緒にしてみたらどうかとも思う。みんなで一緒にお弁当を食べ、みんなで競技を楽しむ。そんな光景をみることは、すばらしいことだと思うんだ。

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